第13章 囚われの心
完全に意識を無くしたをダンデは慌てて受け止めた。心配で顔を覗くと、目はしっかり閉じられ眠っていた。
ダンデは静かにの乱れた服を元に戻した。後ろのジッパーを手探りで見つけるのには少し時間がかかったが、なんとか服の乱れは直せた。
「…」
それでもダンデの心は荒れていた。一人にしてしまった後悔もあったが、自分の知らないを、あの男の方がよく知っている口振り。何より、直したドレスの首元には痛々しい歯形が余計にイライラさせた。
「…」
自分の腕の中で気を失っているの顔を、ソッと上に向かせた。無防備に小さく開いている唇を、ダンデはジッと見つめた。
(これ以上奪われる前に…いや、奪われてしまったとしても…)
無意識なのか、ダンデは自分の顔を近付けた。どうしてにこうも惹きつけられるか、ダンデは今、分かった。
(好きだ…誰にも君を渡したくない)
ずっとわからなかった答えのピースが、まさかこんな形でハマるとは、ダンデも思ってもみなかった。それでも、もうわからないふりをすることもできなかった。
それを理解した途端、誰にも渡したくないという独占欲が、ダンデの心を蝕んだ。
(ずっとここに、ガラルにいてくれ……)
「ダンデ!!何があった---ってうわっ!リザードン、さっきシャンデラと戦ってただろ?」
「…いないようですね…」
あともう少しでの唇に触れる瞬間、バルコニーのドアが大きな音を立てて開けられた。ダンデはハッとから顔を勢いよく距離をとった。バルコニーにやってきた人物はよく知っている声で、キバナとネズだとダンデは気が付いた。
どうやらリザードンが壁になっていたおかげで、自分が何をしようとしていたのか見られずに済んだことに、何故かホッとした。
「おいダンデ、そこにいるの、か……?」
リザードンを避けながら歩いてきたキバナは、バルコニーの先でダンデのマントに包まれたと、それを抱き抱えているダンデを見て驚いた。その後にネズも続いて、キバナと同じような顔をしていた。