第3章 迷走
翌日、は目の前にそびえるローズタワーに来ていた。
(サクッと言ってサクッと終わらせよう)
中に足を踏み入れ、受付のお姉さんに事情を話すと、快く承諾してくれた。
「あのぉ、突然すいません。この間ローズさんにいただいた推薦状にサインをしたので、出したいんですけど・・・」
「はい、話しは伺っております様。ローズ委員長からもしあたな様がいらしたらこちらでお預かりするようにと」
「(よっしゃー!このまま帰れる!)お手数おかけします、それじゃあこちらお願いします」
「確かに受け取りました、ではこちらの書類に今度開催予定のチャンピオンカップの詳細が書いてありますので、目を通してください」
「わかりました」
「頑張ってくださいね!」
「・・・は、はい///」
受付のお姉さんにニッコリ微笑まれ、は気恥ずかしくなり、指で頰をかいた。
渡された書類を鞄に入れたことを確認して、はローズタワーから足早に立ち去った。
(はーーーローズさんに合わずに済んでよかった)
思ったより楽に推薦状が渡せては晴々とした気持ちだった。
前回、ダンデのせいもあるが、失礼な最後で退出してしまったことが少し心残りだった。
だがローズは全てわかっていたかのように、推薦状の受付は簡単に終わった。
(さすがローズさん、要領が良過ぎ・・・)
「・・・ーい・・・い!」
(いい人・・・なんだけど、確かガラルをもっと良くしたくてムゲンダイナを呼び起こしちゃうんだよなぁ)
「おー・・・!・・・い!」
(今回のチャンピオンカップにこの地方の主人公たちが出るかまだわからない・・・できればマサル君とユウリちゃんの邪魔はしたくない。確かジム巡り前に顔わせ的なイベントあった気が・・・よし、そこで確認して)
「!」
「え?!はい!!」
突然誰かが自分の名前を叫び、は咄嗟に返事をしてしまった。
考え事をしながら歩いて足もピタリとその場にとどまった。
すると、自分の上を大きな影が過ぎて、ブワッと後ろから風が吹き付けた。
そしてその正体が目の前に現れた。