第10章 チャンピオンカップ
「よく頑張ったぜ、ギルガルド」
ダンデはギルガルドをボールへ戻すと、労いの言葉をかけた。次のモンスターボールと入れ替えると、とゲンガーを見据えた。
「----次は、引き分けにはさせないぜ」
そう呟くと、ダンデは握っていたモンスターボールをフィールドへ投げた。現れたポケモンは、ダンデと初めてバトルした時に見たドラパルトだった。
不敵に笑ったダンデに、はあの日バトルした日を思い出していた。
(ドラパルト…厄介なポケモンだけど、二体目で出してくれたことをラッキーだって思うべき……ここで倒せば大分有利になるはず)
グッと拳を握りしめ、深く息を吸って吐いた。
「ゲンガー!」
「ドラパルト!」
「「シャドーボール!!!」」
あのバトルを思い出させるように、二匹の両手で作られた紫色の玉が作り上げられ、そして大きくなっていった。同時に放ったその技で、またしてもスタジアムにドン!と大きな音が響き渡る。
その爆音と煙から、ドラパルトが飛び出してきて、ゲンガーは身構えた。
「ドラゴンアロー!!」
「マジカルシャイン!!」
ドラパルトの頭に潜んでいたドラメシアたちが勢いよく発射され、ゲンガーはマジカルシャインでドラメシアたちを撃ち落とした。
「手は緩めないぜ!シャドーボール!!」
「悪の波動で打ち消して!」
ダンデの次々と繰り出される技に、は冷静に対処したが、ドラパルトの素早い動きと、特殊攻撃ばかりで中々近付けないでいた。
(シャドークローはギルガルドのキングシールドで大分威力を落とされている…あのドラゴンアローを前みたいに受けることはできないし、こう動かれたら影に入ることも難しい)
ゲンガーにシャドーボールを放たせるも、ドラパルトはそれを軽々と避けて、むしろ懐に入り込まれてしまった。
「十万ボルトだ!!」
「しまった…!」
スタジアムが眩しい光で一瞬明るくなり、光りがなくなると、片膝をついたゲンガーが、苦しそうにしていた。
「ゲンガー!」
「げ、ゲン…!」
ゲンガーは痺れる体を無視して、に振り返ると、サムズアップをして、またドラパルトに向き直った。ビリビリ痺れる体に鞭をうち、ゲンガーはニヤリと笑って見せた。