第2章 推薦状
ローズは本当にタイミングよく来てくれたダンデに、拍手を送りたかった。ダンデはからローズに視線を移すと、「何かあったんですか?」と聞いた。
はローズがこの後何を言うのかを、薄ら感じ始めて、引いた冷や汗がまたぶり返しそうだった
(ちょちょちょこのおっさんダンデ使う気だな!?)
「ちょうど推薦状の話を彼女にしていたところでね」
案の定紹介状の話で、は話を遮ろうと声を上げようとした。
「君も出るのか!楽しみだ!」
さっき向けられたランランとした瞳が笑顔と共に向けられて、はうっと声が喉に詰まってしまった。
「でも断られてしまってね」
チラッとローズがこちらに視線を寄越したのが分かった。
それもとても残念そうな顔をダンデに向けて。ダンデはもう一度視線をに戻すと、彼女は居心地悪そうに椅子に座っている様子が見て取れた。
ダンデはと目が合うように、片膝を床についた。
そして、の膝の上にギュッと握られている手の片方を手にとった。
(ンンンン?!?!)
「どんな理由があって断ったかはわからないが、俺は君が参加してくれたら嬉しい!考え直してくれないか?」
取られた片手にギュッと力が少しこもり、手袋越しのダンデの体温がゆっくり自分の手に馴染んでいくのが分かり、だんだん頬に熱が集まり出した。
(ヒイイイイイイ何何何なのー///!?何の茶番劇なの?!)
「いや、あの、私、」
「俺は君と勝負がしたい。わかるんだ、君は強いって」
ギュと、また握られた手が強くなった。
「っ///」
「来てくれないか?」
力強いダンデの瞳に、はフルフルと体が震えだした。
「か、」
「か?」
「考えさしてください!!!」
は勢いよく立ち上がった。ダンデに握られた手はスルリと抜け出し、テーブルに置かれた紙袋と紙をひっつかんで部屋を飛び出していった。
自分を振り切って逃げてしまったが出て行ったドアを、ダンデは呆然とみていた。
その様子を見守っていたローズは、「いやー若いねー」と、言って微笑ましくなった。
(でも逃げたのは逆効果、だったかもね)
未だにドアの向こうに消えた彼女を見る青年を見て、ローズは思った。