第6章 ジム巡り
「キバナ君から話は聞いてましたが、君が1番に来るとは思いもしませんでした。ジムチャレンジもあっさりクリアされてしもうた。ぼくもダイマックスを使わねば!」
ターフタウンのジムリーダー、ヤローは言った。
大柄な体型と、優しげな顔、麦わら帽子と首に巻かれた緑のタオルが印象的だ。
ここはターフタウン。
緑豊かな土地と、大きな地上絵があり、そして最初のジムがある。
はエンジンシティから自転車で3番道路、ガルラ鉱山、4番道路をを難なく超え、ジムチャレンジに来ていた。
まさか自分が1番乗りとは思っておらず、ヤローの口からキバナの話題が出て、心臓が不規則に鼓動した。
「キバナ様が私のことを///?!」
「ハッサムを使うから気を付けろと言われたんだわ。ぼくもさんの引ったくりのポケモンをのす動画見せてもらったけど、手強そうなんじゃ」
(ちょ、キバナ様何見せてるのおおお?!?!)
ヤローは笑顔で言うが、は未だにあの引ったくりの件をネタにされていて恥ずかしいと思った。それも憧れの人から広められていると思うと、嬉しいやら悲しいやら、顔が百面相しそうだった。
「準備はいいかな、さん?」
ヤローの声のトーンがひとつ落ちて聞こえた。
はハッとしてヤローを見ると、ヤローはいつも通り笑顔だが、目の奥は笑っていない。
はハッサムのモンスターボールを手に取ると、ヤローに見せるように向けた。
「動画よりすごいの見せますよ、ヤローさん」
は笑うのをやめた。
指定の位置に立つと、とヤローは目を合わすと、同時にモンスターボールをスタジアムの中央に投げた。
スタジアムの中央にはのハッサムと、ヤローのヒメンカが向き合い、お互い睨み合っていた。
「やっぱりキバナ君が言った通り、ハッサム強そうなんじゃ。ヒメンカ、頑張ってくれよ!」
「ヒメ!」
「相手が小さくても手加減なしで行くよ、ハッサム!」
「ハッ!」
ハッサムはハサミをヒメンカに向けると、ガチャン!とハサミを閉めて音を鳴らした。
『それでは!ターフジムのヤローと、ジムチャレンジャーのの公式試合を始めます! 始めっ!!!』
の最初のジム戦が幕を切った。