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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第36章 聞こえない音  お相手:宇髄天元



みくりの身体を
ベットの上に戻すと
その身体に布団を掛けてやる

ゆったりとしたリズムで
呼気と吸気を繰り返している


「みくり。おやすみ」


眠る みくりにそう
宇髄が告げると
みくりの唇に自分の唇を重ねた



そのまま みくりは

もう 二度と目覚める事はなくて




その 5日後に 死んだ




葬儀を執り行ったのかどうかも


みくりの死の報せを受けた直後に

任務に向かう羽目になっちまって


俺がその任務から戻ると


大きな屋敷はもぬけの殻になっていた


だが みくりの部屋の家具は


そのまま残されていて


みくりが眠っていたベットの上には
こんもりとした小さな膨らみがあって

その掛け布団を捲ると そこには

オルゴールの付いた
ジュエリーボックスがあった

海を思わせる様な青いその箱には

貝殻やヒトデやタツノオトシゴの
装飾が施されていて

カパッとその蓋を開くと

アイツがいつも 弾いていたあの曲が

オルゴールの音色になって聞こえて来た


その箱の中に


幾つか 白い物が入っていて


それが何かすぐに分かった


「馬鹿なやつだな、お前は。
どこに、指…こんな所に置いて行く
ピアニストが居るんだよ?
これがねぇと、あっちでお前…
ピアノ……弾けねぇだろうが…」


大凡… アイツが
あのメイドに頼んだんだろうが…


アイツには 僅かにしか


残されてる時間なんて無かった


でも その残された時間を
ただ 生きる事じゃなくて


その全てを使ったとしても


宇髄が 部屋に残されたままの

ピアノの鍵盤を蓋を開くと


そっと その鍵盤を撫でる


どんな曲だって


一度聴けば この耳は憶えちまうから


アイツのピアノは

何度だって聴いたんだ


俺の この耳で


その音のひとつひとつを
余すことなく寸分の狂いも無く



俺の頭は憶えて居て



スッと宇随が自分の指で

みくりの弾いていたあの曲を


なぞる様にして 演奏し始めると


自分の脳裏にあの日の記憶が

その音と共に


鮮やかに 思い出してしまうから


まるで 時間が


引き戻されてしまう様な……




そんな 錯覚を 憶えてしまう






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