第30章 みじかいおはなし その2 ※裏なし お相手:色々
「はぁ~、もぉ~。
こんな時に降られるなんて
ついてない…し。最悪っ…」
鬼の首を落として
みくりが日輪刀に付いた
血を振り落とすと
自分の鞘に納めた
任務を終えたはいいが
通り雨に降られてしまって
秋の空は不安定だとは言うけど…
こんなに気温が下がってるんだ
幾ら外気温に左右されにくい
隊服だと言えども
雨に晒されるとその効力も薄くなる
「確か…この辺りにあったかな?
藤花の家紋の家…」
自分の頭の中の記憶を探ると
ここから5里ほどはあるが
藤の花の家があったのを
みくりが思い出した
自分の家に走って戻るよりも
そっちへ行った方が格段に近いし
シィイイイイッ…
みくりが雷の呼吸をすると
そのまま走り出した
5里の距離は雷の呼吸を使えば
あっという間に付く
家の戸口を叩くと
藤の花の家の人が
丁寧に頭を下げて挨拶をしてくれる
「これはこれは、鬼狩り様。
お疲れの事でございましょう。
雨に降られたのでございますね?
温かい風呂の用意と
お着換えをご用意いたします。こちらへ」
「すいません、お世話になります」
「準備が整うまで、居間で
囲炉裏にでもお当たりになって
お待ちください…。
先ほど来られた鬼狩り様も
お休みになられておられますので」
そう家の人に案内されて
風呂の用意が整うまで
居間で待つように促される
ガラッと居間へと続く障子を開くと
どこかで見た見覚えのある
市松模様の羽織りに
木箱を背負った隊士の姿があって
「この匂い…、みくりさん?」
私が声を掛ける前に
彼が匂いで私に気が付いて
炭治郎がこちらに
満面の笑みを向けて来る
「みくりさんも、
この家に来られてたんですね?
お仕事の帰りですか?
俺、こんな所でみくりさんに
会えるだなんて思ってませんでした」
そう言いつつも
部屋の隅に積まれていた
座布団を自分の隣に置いて
そこに私に座るように促すと
囲炉裏に掛けてあった茶瓶から
お茶を淹れてくれて