第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
「ちゃんとした言葉でないと、
俺の気持ちは、貴方には
伝わらないだろうか?みくりさん」
みくりの両手の指を
杏寿郎の指が絡め取り
ギュッと力を込めて
握り込められてしまう
指を絡ませて繋いだ部分から
伝わる痺れが胸を締め付けて来る
欲しいと……願ってしまう
彼の口から その言葉を言われたいと
望んでしまいたくなる……
でも それを聞いてしまったら
きっともう 戻れなくなってしまう…
「許してっ…そう言われてしまったら、
私はっ、…きっと……もう」
「俺は……言いたくて仕方がないが。
お許しを頂けないでしょうか?みくりさん」
そう耳元で
熱くて甘い声で囁かれて
彼の吐息が耳をくすぐる
「言わない…でっ、下さいっ…んんっ」
「それは、何故…?」
今度はいつもよりも
低い男らしい声で囁かれてしまって
ゾクゾクと背筋を甘い電流が抜けて行く
その痺れすらも 甘くて
ふわふわとした 浮遊感を憶えてしまう
「ですがっ、そうされてしまったら
…揺らいで……しまいますからっ」
「貴方が揺らいでしまうのなら、
俺が貴方を支えよう。
なら、何も問題はないと言う事で
…構いませんでしょうか?」
「嫌ッ、…言わないでっ…」
「貴方には悪いが、
…俺はそこまで器用な男ではない。
そうでもない相手とは、
事に及びたいとも思わない。
お叱りならば、後で…幾らでも聞こう。
貴方は、俺を堪えの無い男だと…、
そう罵ればいい……」
そう 言う彼の言葉は
私がどんな言葉を並べて
それを断ったとしても
それは受けいれないと言う意味で
でも 彼に
杏寿郎さんに
そう 言われてしまったら
きっと
耐えられなく 堪えられなくなるのは
きっと
私の方………
「みくりさん。俺の、目を見て
……聞いて貰いたいのだが…」
名前を呼ばれて
促されてしまって……
恐る恐る
自分の伏せていた視線を
彼へと向けると
彼と視線がぶつかる