第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
「とても良く、お似合いだ。みくりさん、
まるで貴方にそうされる為に
作られたのではないかと、
勘違いしてしまいそうでもあるが。
同時に、俺はそのかんざしに
嫉妬してしまいそうでもあると言う物だ」
え?かんざしに嫉妬するとは
一体 どう言う意味なのだろうか?
「嫉妬……ですか?それは……」
「これほどまでに、近く…
貴方に寄り添う事を、許されていると
言う事に……ですが?俺はその事実に、
嫉妬と言う感情を
覚えてしまいそうにもあるが……」
「もう、かんざし…ですよ?
また、その様なご冗談を……」
私の言葉にふぅっと小さく
息を漏らして
「冗談でもないが……。
貴方が冗談にしたいのならば、それでもいい。
どうです、ひとつ。みくりさん。
俺と勝負でもしてみませんか?」
あれでと煉獄さんが私に言って
輪投げの出店を指さした
「輪投げ…ですか?でも、勝負と…」
「ええ。どちらが多く景品が取れるか
勝負しませんか?」
「それは、別に構いませんけど……」
出店の男性に声を掛けて
煉獄さんが私の分の輪投げの輪を
こちらに差し出して来て
それを受け取る時に
不意に掠めた指先に
思わず手を引っ込めてしまって
バラバラとその輪が 地面に広がった
さっきまで 手を繋がれていたのに
指先が少しつかえただけで
変に意識してしまって 恥ずかしい
生娘でもあるまいし… 何をしてるんだか
「すいませんっ、大丈夫です。
自分で、拾いますので。お構いなく」
地面にバラバラになった
輪投げの輪を慌てて拾い上げた
輪投げの輪は 全部で5本
全てが入れば
景品は 5つ手に入るけど
「ああ、意外と難しい物…なのですね」
彼の投げた輪が
景品の縁に当たって弾かれる
「ああ。惜しい…、でしたら
次は私……、ですね」
自分の顔の縁に掛かっている
髪を耳に掛けると
輪投げの輪を構えて
的を目掛けて 押し出すようにして投げる