第8章 そういえば
──「…だから、んーと、生活費とかもおれ出すから」
「…んー、それはねぇ、そうねぇ、研磨くんのご両親とも話するわ」
「おれもまだ引越し先の準備のことに使うのと、ちょっとやりたいことのために貯めるのととかで
学費とかまではカバーできてないから、全然… なんていうか…説得力ないのに変だけど … んーと」
「うん。わかった。そこは研磨くんに任せるよ。
ご両親にはまず研磨くんが自分で話してから、僕たちも一度話し合うけど。
研磨くんの意向に添えるように僕は、話を進めたいなと思う」
「………」
「でもほんとにいいのかい?穂波の分まで払うっていうのは……」
うん、全然。
そんなの当たり前にできるようになるから。
まだ、説得力ないけど… でも絶対。
「うん。穂波がいいって言ってくれるかわかんないけど。
あ、あと穂波が帰ってきて仕事始めたらまた、その辺は考え直すけど。
なんていうか… 払って欲しいって意味じゃなくて、んと」
「うんうん。わかるよ、大丈夫」
「けど、穂波とか子どもとか全然おれ一人で苦労させないくらい稼ぐから、とは実の所おもってる」
「「………」」
「ていうか何なら、おれ自分の学費まかなうことになったら、穂波の大学の分も払うし」
見栄、とかじゃなくて。
男が外で稼いで女は家、とかでもなくて。
でもなんでだろう。
やっぱ養いたい、みたいなのがある。
男だからなのか、おれがなのかはわかんないけど。
時代錯誤もいいとこだけど、でも拭えないそういう… 本能みたいなのがある。
「…ふふ 笑 ごめん、研磨くん、真剣に話してくれてるのに……笑」
「………。 …! 」
心さんが吹き出して。
それで今しがた自分の口から溢れでた言葉の浮かれ具合にギョッとした。
何言ってんだおれ……