第7章 su casa
ー穂波sideー
ピタサンドを食べ終えて、ちょっとのんびりして。
それから中にはいると、研磨くんはどうやらクルーザーを選んだようだった。
うちにもある、レベルロイヤルの31インチ。
今はベアリングやウィールを選んでるみたい。
ウィールはそれでもクルーザー縛りだと種類はないけど、
でもきっと、こういうの好きな人にはたまらない時間。
自分のしたい滑りに合わせて、色々をカスタムする。
いろんな通りの組み合わせがあって、きっとすごい妄想が膨らむ。
多くの男の子が嬉々としていろいろ考えたり、吟味したり、実際トライしているのを何度も見てきた。
何でもかんでも男女で括る必要はなくてもでも、
こういうことに関しては圧倒的に男の子たちが目をキラキラさせる。
女の子のスケーターが仕様を変えてみようかな、と呟けば、
吸い寄せられるように集まって、スケボーの持ち主より嬉しそうに談義してたりする。
撮影の邪魔にならないように、少し距離をとったとこから覗き込むと…
やっぱり研磨くん、わくわくした顔してる。
色んな重さ、色んな色、色んな特性を持ったパーツが目の前にあって、カスタムできる。
男の子の顔、してるなぁって。 嬉しくなる。
スポンサーの人がお会計を済ませて、
カズくんがデッキテープを貼って、組み立てて。
その間に普通に交わされる研磨くんとカズくんの会話をボイスレコーダーで録音しながら、
紙にもメモしてるライターさんがいて。
内容は聞き直せばいいけど、この空気感をメモしてるのかな、とか。
ここでインタビュー形式にしないとこが、2人の空気を汲んでいて好きだな、とか思いながら。
小さなころから大好きな、こういう、現場観察をして過ごす。
プロの仕事は見ていて気持ちがいい。