第76章 深紅のバラと浅葱の蝶 ※R-18
俺からしては意味がないと
そうまたしても
あげはに窘められてしまって
そのまま あげはのお礼をそのまま
大人しく受け入れる事にしたまでは良いが
ちゅぅ…ちゅ…っと音を立てながら
唇に押し付けられて行く口付けをされて居ると
もっと… 深く…彼女を
感じたいと焦らされてしまって
こちらから彼女の身体を引き寄せて
もっと貪る様に口付けたいと…
そんな事を考えてしまっていて
彼女が礼を尽くしてくれていると言うのに
自分の中の衝動とせめぎ合い葛藤するのを感じる
「なぁ、あげは、
俺からも…させてはくれないか?」
「いいえ、今はダメにありますよ?杏寿郎。
今は、私が貴方に
この簪のお礼を尽くす番ですので。
これだけでは、貴方のしてくれた事へのお礼には
僅か程にしか、なりませんでしょう?
杏寿郎からは、
お済になってからにお願い致しますね?」
痺れを切らせて杏寿郎がそう言うと
そう言ってにこっと
あげはが微笑んで来て
その彼女の笑顔にはどうにも俺は
逆らって主導権を
奪い返す事は無理な様に感じて
彼女にされるままに口付けをされるままになる
「んっ…、杏寿郎…」
口付けながら その手に
まさぐる様に胸板を撫でられてしまって
なでなでと胸板を撫でるその手つきが
円を描きながら擦る様になって行くが
そうされた所で 俺は男なのだから
胸を触られて撫で回された所で
そこで感じたりはしないのではあるが
その触られ方に 彼女の手つきと
俺のその胸を自分の胸に重ねる様にして
愛撫をして来るその姿と表情を
厭らしい…と感じてしまって居て
ジンジンと自分の身体の中心の部分に
血流が集まって熱を帯びて来るのを…感じる
「杏寿郎…」
耳元でそう名前を囁く様にして呼ばれて
スッとこちらの腰に
自分の腰を引っ付ける様に寄せて来られて