第2章 きっとこれは恋じゃない
涙を拭いてもらって少し落ち着いた蜜璃ちゃんは、今度は私の方へと向き直る。
「あのね、柚葉ちゃん。私、柚葉ちゃんの事妹みたいに思ってるのね。だから柚葉ちゃんも、私の事お姉さんだと思って何でも言って欲しいの。頼りないかもしれないけど、一人で抱え込まないで、何かあったら言ってね。今度は遠慮しないで!いつでも柚葉ちゃんの力になってあげたいの。私も小芭内さんも、柚葉ちゃんの味方よ!ね、小芭内さん!」
「あぁ、いつでも頼るといい。お前に悪さする輩がいれば直ぐに行って締め上げてやるから安心しろ」
「お説教してくれるって事かしら?頼もしいわ小芭内さん!素敵!」
あぁ、蜜璃ちゃん。
多分伊黒さんの“締め上げる“はそのままの意味だと思うんだけど…
まぁいっか。
「蜜璃が姉なら俺の事は兄だと思ってくれて構わない」
「本当?」
「あぁ、俺もお前の事は妹のように思っているからな」
「嬉しいな、ありがとう!」
私には、こんなにも頼もしい兄と姉がいる。
なんて心強いんだろう。
二人が自分の事をこんなにも大切に思ってくれていると知って、心がポカポカとあったかくなった。
「でもせっかくキメツ学園に行く事になったのに、蜜璃ちゃん達がいないのは寂しいなぁ」
まだまだ沢山あるマカロンをいただきながら、私はこれからの学園での生活に思いを巡らす。
学校を変えて一から頑張ってみようとは思っているけれど、果たしてそんなにうまくいくだろうか。
人間関係で躓いた自分。
新しい所で受け入れてもらえるだろうか。
口の中は甘い幸せでいっぱい。
でも心の中は不安でいっぱい。
何となく今の私の気持ちを察知したのか、蜜璃ちゃんが私をぎゅっと抱きしめる。
「柚葉ちゃんっ、私も一緒に行けなくて寂しいわ!でもね、大丈夫よ!柚葉ちゃんならきっとたくさんお友達出来るわ!だってこんなに可愛いんですもの!」
蜜璃ちゃんがもう一度、ぎゅうぅうっと私を抱きしめた。
さっきよりも更に強く。
嬉しいな、蜜璃ちゃんにそんなふうに言ってもらえて。
そして、ちょっと苦しいな…
蜜璃ちゃんの、羨ましい程の豊満なお胸に圧迫されて…