第4章 瀞霊廷の生活
あわわ!と慌てたように筆を持ちあげて墨の横に置くと、机を拭いていく。
きっと今書いていたものは使い物がないほど―…墨が飛び散っているのだろう。
恋次と呼ばれた男性は、がっくりと肩を落としている。それがちょっと可愛らしくて、美穂子は小さく笑った。
そんな恋次にため息をつくと、白哉は自分の席に向かって歩く。
美穂子はそれを追いかけた。
「そこにある書類を分類してほしい。右上に赤い印で印があるから、それを目印にすればいい。ないものは後で印が押せるように内容を確認して分けてくれ」
「わかりました」
「作業場所は、そこの机を使え」
美穂子は書類を持ち上げると、指示された通りの場所へと移動する。
すると、慌てたように先ほどの恋次という男が近づいてくる。
「ちょ…、隊長!こいつ、誰っすか!?」
「藍野美穂子という。うちで預かってる」
「―……え”、じゃあ…こいつが噂の」
「噂?」
美穂子が首をかしげると、恋次はあわてて首を振った。
「あー、いえ。えっと、六番隊の仕事を手伝うんすか?」
「使えんようなら、今日だけのつもりだ」