第14章 命と古傷
日が沈んで、どれくらい時間が経っただろう。
皆さん、今頃別の任務に就き、狛治たちは今頃どうしているでしょう…。
体はまだ動かなくて、力も入らない。
食事はまだ喉を通らず、点滴の管が頭上近くにぶら下がっている。
意識は朦朧として、視界もぼやけて…
体がただ熱い。
残ってくれた小夜子さんと悟さんはどこかで気配を消してもらっている。
あちらには
この部屋は静かだ。
少し瞼を開けると、月の光が煌々と入ってくる。
誰の気配もないと、この屋敷も稽古をする場所も
広さと冷たさを同時に感じる。
ゆっくり
呼吸を整える。
結構な偶然らしいけど、おそらくわたしが連れていかれるのは、カナエさんが潜伏していらっしゃるところ。
何か起きる時、緊張感が漂うとき
しんと、不気味に静まり返る感じはどうしてだろう。
そろそろ…
そう思った時に黒づくめの刺客らしき男たちが部屋に土足で入ってくる。
入ってきてこちらに向かう気配がして、次第に影が見えるほどの距離に来た。
障子を開ける音がした。
人数は3人。
一人が、寝ているわたしの様子を見て、息をのむのが分かった。
「つれて…行きなさい…」
引き千切られた管が血管と周りの皮膚を裂く。
痛みが走った瞬間…また意識を失った。