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GIFT 【R18】

第6章 ある夏の夜※




マンションへ帰ったナナは
明かりもつけないまま
リビングのソファで膝を抱えていた



どれくらい
時間が経っただろう


鍵の音がして
響也が帰って来た


立ち上がったナナの方へ
響也は真っ直ぐに歩いてきた


『……響也………ゴメンなさい……勝手にお店に行ったりして…』


響也は俯いているナナの頬に手を当て
上を向かせた


口紅を乱暴に拭ったような跡が
口元に滲んでいた


「……オマエが謝ることない………無理に連れて行って悪かったって……愛子さん…言ってたよ…」

『……でも……』


再び俯いてしまったナナの頭を
響也は優しくポンポンと撫でた


『…………や…めて…』


ナナは震える声で言った


「………ナナ…?」

『……そんな風に優しくしないで…………私…苦しくて心臓がつぶれそう………………響也が…こんなに近くに居てくれてるのに……誰よりも遠くに感じるの……』

「……」

『………ゴメンなさい……………これだけお世話になってて……何もかも面倒見てもらってる私が………こんな事…望んじゃいけないって…分かってる…………分かってる…けど……… 響也…には…………私の事……ひとりの女の人みたいに…思って欲しいって………どうしても…考えてしまうの…』

「……」

『………フッ……ゴメンね。………こんな気持ち…知ったら……もう…今までみたいにはいられないよね。…………私……バイトのお給料貯めて……部屋が借りられるようになったら…ちゃんと出て行くから………それまで…あともう少しだけ……ここに居させてください…』


ナナはそう言って
深々と頭を下げた


ナナの瞳からポロポロとこぼれ落ちる雫を見て
響也は放心したように言った


「……アイツの言う通りだ………ほんっっと…情けねーな…」






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