第4章 友達
そのお金はあたしが受け取るべきものじゃない。
人を殺してお金をもらう。──あたしは別にお金が欲しかったわけじゃないの。
ただ助けたかっただけなの。
あの子を。あの子たちを。
そんなお金、あたしはもらえないし、もらいたくない。
そう思っていると、
「余計なことを考えるんじゃないよ。金はちゃんと受け取りな。賞金首は殺した奴が金をもらう。これは当たり前のことだ。別に罪悪感を抱くもんじゃない」
ぴしゃりと言い放たれた。
「…じゃあ、せめてあの教会の再興に使うことはできませんか」
あたしの言葉に、おつるさんは少しため息をついて続ける。
「教会はしばらく閉鎖するようだ。そらあんな事件があったんじゃ誰も寄り付かんだろうからね」
「…そう、ですか」
この人は、つべこべ言わずに受け取れと、そう言いたいのだ。
こんなに淡々と言われるとうじうじ悩んでるあたしがおかしいのかという気がしてくる。
結局あたしは頷くしかなかった。
「じゃあ…いただきます」
おつるさんはそれに軽く頷いて、さらに話を続けた。
「さて、ここまでで状況は理解したね。次はこちらが聞く番だ。アンタの素性と目的を教えな」
聞き方はきついけど、この人は普段からこんな感じなんだろう。さっきからの淡々とした様子であたしもだんだん分かってきた。
優しく労わられるよりよっぽどこっちの方がいいや。
少なくとも、普段の調子を取り戻すためには、今のあたしにはこの女海兵の淡白さがありがたかった。