第7章 不安
リサ side 続き
「……リサ………俺……オマエの事……」
タクミは言葉を続ける代わりに
私にキスした
少し不器用で荒々しいキスは
彼の真っ直ぐな気持ちそのもののように感じた
" SAISON "で初めて会った時
太陽のように笑い掛けてくれたタクミは
いつも側にいて私を気遣ってくれた
タクミはいつしか私にとって
大切な友達になっていた
シンヤさんや他のスタッフには
私とタクミの仲の良さをよく冷やかされた
サトルから
私達がくっつく事を望んでいるかのような態度をとられた時は
さすがに少し傷ついたけれど
本当は
そうなるのが一番いいのかもしれないという事も
頭の中では分かっていた
口に出される事は無くても
タクミの私への想いはもう十分に伝わっていた
けれど
それはとても清らかで
私には眩し過ぎて
どうしても
受け止める事ができなかった
そして
何より私は
サトルの事を心から愛してしまっていたのだった
私は俯いて
彼の身体をそっと押し返した
『………ゴメンナサイ…』
「……」
タクミは悲しそうな顔で数歩後ずさりすると
背中を向け走り去ってしまった