第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
ビルの屋上にジャラジャラと数珠の擦れる音が響く。
そこにいるのは四人の人物――彼らの足元には呪符の巻かれた三本の杭が刺さっていた。
「粟坂、辺見、聞こえたか?」
「『五条先生が封印されたんだけどー⁉』ですね。耳を塞いでても聞こえますよ」
老婆の問いかけに、三つ揃えのスーツを着た背の高い老人――辺見 雄太郎が上品に笑い声を立てる。
「敵側に情報が漏れとるな」
両手で数珠を擦りながら続ける老婆――オガミ婆の後ろには、白いニットを着た痩身の男が沈黙していた。
「いいじゃねぇか、オガミ婆。俺はようやく実感が湧いてきたぜ? マジで封印されたんだな、五条 悟。興奮してきたぜ」
ダルマのような眉の小柄な男――粟坂 二良が弾んだ声を上げる。
「楽しくなってきましたね。はてさて、この国はどうなっていくのか」
粟坂と同じように声を弾ませる辺見に、オガミ婆は「何も変わらん」と静かに言った。
「――呪い呪われ、死ぬだけよ」
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