第26章 狂おしいほどのパッショナート
「詞織! それ以上はダメだ!」
「追い打ちになってる! その話はストップ! ストーップ‼︎」
「神ノ原さん! とにかく、伏黒くんを褒めて! 好きなところとか! とにかくいっぱい!」
詞織は周りに囃し立てられ、放心状態の伏黒の腕を引く。
「メグの好きなとこ……メグは優しいから好き」
「星也さんも優しいだろ」
「カッコいいよ」
「星也さんもカッコいいだろ」
つい拗ねたように、詞織の言葉を否定してしまう。
「うわ、面倒くさ」
「五条先生……さすがに笑いすぎですよ」
「伏黒でも拗ねることってあるんだな」
釘崎が煩わしそうに眉を寄せ、未だ大爆笑中の五条に順平が声をかけ、虎杖が珍しいものを見るように目を瞬かせる。
「でも……わたしが困ったとき、一番に助けてくれるのは、いつもメグだよ」
「………………そうか……」
そう言われると、やっぱり嬉しい。
出張などで一緒にいることができない星也や星良、詩音だっていつでも表に出てこられるわけではない。
そんな中で、詞織が真っ先に頼ろうと思える相手に選ばれている。
初恋相手でなかったのは、まだショックだが。
こうして、大波乱の末に、吉野 順平の歓迎会は幕を閉じた。
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