第16章 これから目指すファンタジア【成長/我儘】
暗い空間。
骨を積み上げて作られた玉座。
静寂の中で、宿儺はニヤリと口角を上げた。
『あの男――……』
神ノ原 星也といったか。
【陰陽術式】――詩音が使っていたものと同じ。
数多ある術式の中でも古い部類の術式だ。
その汎用性の高さからあらゆる場面に対応できるが、その分 扱いが難しく、この術式を受け継げる素養を持つ者は限られている。
だからか、神ノ原の者でも、詩音が全てを投げ打っても守りたいと言っていた妹は、【陰陽術式】の一種である【呪歌】しか使えない様子だった。
だが、あの男の術式は詩音を遥かに凌ぎ、高い完成度を誇っている。
伏黒 恵も悪くなかったが、神ノ原 星也も中々 面白い……。
そして、詩音はどちらとも縁がある。
『くくっ。あの生意気な小娘に保険をかけておいて正解だったな』
しばらくは様子見だが、それが終わればすぐに、この世界も蹂躙してくれる――……。
* * *