• テキストサイズ

十六夜の月【アイナナ短編集】

第6章 六夜目.その御伽噺の続きを私達はまだ知らない




ハンサムが、チーターに向かってそれを放り投げる。一発目は、敵が気付いていなかったこともあり大ダメージ。二発目と三発目も、ダメージを与えることに成功した。四発目が炸裂する前に、チーターが家から飛び出し回避されてしまう。
ハンサムの手持ちグレネードは、そこで尽きた。


『…っ、』
(美味しいところだけ攫うみたいで、申し訳ないけど)


エリは持っていた唯一のグレネードを、飛び出して来た敵に向かって投げつける。その攻撃は、僅かに残っていたチーターの体力を削り切ったのだった。

WIN!の文字が画面いっぱいに映し出される。エリは、長い溜息を吐いて勝利の余韻に浸った。
その余韻もつかぬ間、通知の嵐が押し寄せる。幾多ものフレンド申請であった。

チーターに見事打ち勝ったエリに興味を持ち、見学していたプレイヤー達が送ったのだろう。ハンサムにはこれ以上の申請が行っているに違いない。

エリは、何度も何度も拒否のボタンをクリックする。淀みなくマウスを押していた指が、ピタリと止まった。


[ハンサム さんから、フレンド申請が届いています]
[承認] [拒否]


エリはその画面をしばらく見つめた後、カーソルを動かした。

/ 249ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp