第23章 現代でだと?
あの頃の記憶があるからなのか…情事をした後の桜雪の謎な癖?がある。
実弥の胸板に顔を埋めてスリスリと頬ずりをする。
離れようとすると…泣きそうな声で
『ぃゃ…』
と小さな声で言う。
恐らく…あの時はそこまで医療技術も進んでいないし、怪我人を直ぐに運べる手段も少ない。
何人も手遅れになって命を落としてきた隊士も見てきたが為に愛する人を失うかもしれないという不安が襲って来るのだろう。
実弥はそんな桜雪の行動を懐かしさ感じながら桜雪を抱きしめた。
『実弥…』
『なんだァ?』
桜雪は顔を埋めたままで実弥を呼ぶ。
『今はただの人で…あの時とは違う…直ぐに傷は治らないし…体は再生しない…だから…怖い…あれだけ死にたかったのに…死ぬのなんて怖くなかった…今は死ぬのが怖い…』
『だったら…死なねェように稽古したらいい…怪我なんて生きてりゃ…どっかですんだろォ?』
『うん…』
桜雪は実弥に更にギュッと抱きつくといつのまにか寝息を立てていた。
実弥は桜雪を苦しくないようにと起こさないように寝かせてから自身も眠りについた。