第9章 甘い約束
彼との甘い甘い時間の後、私は少し眠り、また目を覚ました。
何処かで虫の鳴き声がする。窓から月は見えず、今はもう真夜中のようだった。
「・・・起きましたか」
とんでもなく疲れがにじみ出た声が机の方から聞こえたので見てみると、そこには疲れた顔をしたジャーファルさんが羽ペンを持って仕事をしていた。
「ジャーファルさ・・・・・・ふあっ!?」
彼を休ませようと起き上がった瞬間、私のお腹に激痛が走った。
おそらく眠る前のアレのせいなのだろうことはわかるけど、まさかこんなに痛いだなんて・・・
「だ・・・大丈夫ですか!?いいから寝ていてください!」
「ジャーファルさん、こそ・・・寝て、くださいっ」
私はお腹を抱えながら彼に語りかけ、彼の力を借りて寝台にもう一度横たわった。
彼が仕事に戻ろうとしたため服の裾を掴んで見上げると、彼は赤面しながら寝台に横になった。
「・・・・・・ミルカ。少し、大事な話があるんです」
彼はすぐ近く、鼻が触れ合いそうな距離で私に話しかけた。
「なんですか・・・?」
「・・・私は、貴女を傷つけてしまった。それは貴女の彼氏として、してはならない過ちです。
しかし、貴女は許してくれた。むしろ自分に罪があったかのような態度を取っていた」
「だって、あれは・・・」
「分かってますよ。貴女は自殺なんて考える人じゃない。本当は自分の意思とは裏腹に体が動いていたんでしょう?」
その通りだ。
あの時私は、確かにツミテ先輩の声を聴いた。それを理解した時にはもう、身体が空へ投げ出されてしまっていたのだ。
「貴女にあんな怖い思いをさせる奴は、私が倒します。私が貴女を守る。私はそう決意しましたが、貴女はそれで・・・いいのですか?」
彼の瞳は強い意志を持っていて、表情も真剣そのものだった。
「そんな・・・私だって、貴方に聞きたいです。ろくに貴女のお手伝いも出来ず、貴方に危険な目に合わせてばかりなこんな私でも、本当に愛してくれるんですか・・・?」
さっきの行為の時に、私たちは散々好きだと言葉を交わしたはずだった。それでも不安になる私たちは、意外と似たもの同士なのかもしれない。
似た者同士な私たちは声を揃えて、
「「はい、もちろんです・・・!」」
と言葉を交わした。