第7章 操り人形
黒いもやは、どんどん彼女を包んでしまう。
私は彼女に手を伸ばした。しかしシンに止められてしまった。
「ミルカ、ミルカ・・・・・・・・・・・・!!」
私の声は・・・ミルカではない、別の人に届いていた。
「うふふ。なーに?ジャーファル様!」
彼女の身体から出てきた声は、彼女の声だけれど彼女ではなかった。
黒いもやが晴れたと同時に、彼女の姿が見える。
それはミルカの身体であるが、中身は彼女ではない。すぐにわかった。
「お前は誰だ・・・・・・!!」
私はクーフィーヤを取って床に叩きつけ、彼女に言った。
「私?私はミルカ・・・って言っても、もうばれてるわよね。あたしはツミテ。そこにいる王様によって解雇された、王宮の料理人だったツミテよ」
その言葉には、ここにいる全員が驚いた。彼女が、どうしてミルカの体に?
「ふむ・・・お嬢さん、君は何が目的なんだ?俺の国には俺とヤムライハで作り上げた防御結界が張ってある。なのに何故君はここにいられるのかな?何故ミルカの体に入っているんだ?」
シンが落ち着いた声でツミテという女性に聞く。
彼女は不敵な笑みを浮かべていた。
「質問が多いわよお、王様。簡単よ。黒ルフを隠したのよ!あたしの中にあるわずかな白ルフでね。つまりは完全に堕天していないの。だからこの国にも入れたのよ」
彼女は淡々と話していた。その間、私の怒りはこみ上げるばかりだった。