第9章 風柱と那田蜘蛛山
悲しんでいるとか辛いだとか、そんな胸の内を晒すような声音ではなくただ本当に心から感じているのだという響きの更紗の言葉に、杏寿郎は更紗に視線を向ける。
「だからこそ、私はやっぱり鬼殺隊で闘いたいです。お義父様に言われた通り、今回のように間に合わなくて辛い思いもするかもしれませんが……それでも救われた命があってその命を託されました」
「あぁ」
「託された命を繋げられるならば、これからも繋げていきたいです……ですので、これからも継子としてお世話になりたいです」
どうやら棗の一件でただ悲しんでいただけでなく、更紗なりに色々考え、この先どうするのかを考えていたようだ。
そして、出した答えが殺伐とした血なまぐさい世界で、命を繋げる事だった。
「俺の返事なんて決まっているだろう?君をここまで引っ張り上げると言ったんだ、それを今更投げ出すつもりはない。安心してここにいるといい」
その言葉通り更紗は安心してホッと息をつき、杏寿郎を見上げた。
「これからもよろしくお願いします、杏寿郎君」
フワリとした笑顔に杏寿郎も自然とそれにつられる。
「こちらこそよろしく頼む、更紗」