第7章 不穏な影と全貌
男は徐々に近付いてくるクナイを目を見開き涙を浮かべながら凝視する。
「ここで目ん玉抉り出しても俺の良心は全く痛まない。だが煉獄も言ってた通り、姫さんは呆れるほど優しい。俺がてめぇの目を抉り出したら、自分を派手に責め俺を想って涙を流す。ついでにてめぇの身すら案じちまうんだろうな」
その姿が簡単に想像出来て思わず苦笑いが浮かび、クナイを仕舞い男の体を解放する。
「もう一度言うが俺は元忍だ。煉獄と違って鬼殺隊に入るまで多くの人を殺めてる。今更1人増えたところで大した問題でもない。隊律には違反しちまうが、まぁ気持ち的には痛くも痒くもねぇ。俺の情報網舐めんなよ、てめぇが変な動きしたらすぐに分かる。その時は煉獄が気付く前に俺がてめぇの目ん玉抉り出してから、このクナイを派手に脳天にぶっ刺して躊躇いなく殺す」
男の額に指をトンと当て、ここだと示す。
「ここにいるもう1人の仲間が動いても、他にいるか知らねぇがてめぇ関係で姫さんに手ぇ出してきてもお前をすぐに殺しに来る。そこらへんをふまえて、これからの人生考えろや」
そう言って天元は懐から紙を取りだし、男に触れた両手を拭い男の顔の上に捨てる。
「また会わねぇ事を派手に祈ってるわ」
男を殺意の籠った視線で一瞥し、ようやく天元は山を下った。