第63章 馬鹿の失敗談
ついでにラッピングも済ませて、私は大満足で家路についた。
プレゼントを両手で抱えてルンルンで家に帰る頃には真っ暗だった。…まぁ、実弥が帰ってくる時間まではまだ余裕あるし。
実弥ってば夜に外歩いてるだけで怒るからな〜。
「!!!」
ほらこんな感じで。
「え」
角を曲がれば我が家のマンションが見える…というところで、聞き覚えのある声が聞こえた。
前方から誰かが走ってくる。気配で誰かわかる。実弥だ。
怒っている…のは確かだが、その顔が焦っているような、泣いているような、そんな表情で迫ってくるので……逃げにくい。
「どこ行ってたんだよ!!」
「あ、えと」
その質問に答える前にギュッと抱きしめられた。
冷えていた体が実弥の体温でだんだんあたためられていく。
「ちょ、実弥、ここ外だよ…?」
背を丸めて私に抱きついてくる実弥の息が荒かった。ゼエハア言って苦しそうだった。
あたたかいというか、むしろ暑いくらい。それくらい動いていたのだろう。
「うるせえェ、どんだけ心配したと思ってるんだ。お前、家に帰ったらいねえし、電話も出ねえし、全然帰ってこねえし。」
「……ごめん」
「…ッ、本当、やめてくれよ、寿命が縮む……早死にしちまうよ。」
実弥はゆっくり私から体を離した。
「…ほら帰ろう。お前、冷たくなってるから体あっためねえと。」
「うん。」
実弥に手を引かれて私は家に帰った。
途中でズビッと鼻をすすったら、実弥が持っていたマフラーを貸してくれた。
……いやお前マフラー持ってたのかよ。買わなくてよかったわ。