第45章 傷が消えるまで生き抜いてー過去の記憶ー
「「「「助けてください!!!」」」」
そう言いながら私をぐいぐい後ろから押してくる。
「お願いします!鳴柱様を止めてください!!」
「助けてください!!」
「このままだと本部が崩壊する!!!」
私はくるりと後ろに振り向いた。じいっと食い入るようにその顔を見つめた。
「“タスケテ”とは、何を表すものなのですか」
「へ?」
「私は今、あなたたちに何を求められているのでしょう」
首を傾げる。まだまだ安城殿が暴れていて、バキッとかめきめきっとか、そんな音が聞こえてきた。
「え、え?」
「…ほら、ダメなんだよ、この子……」
ドオンン!!と一際大きな音がして、ついに庭から見えていた部屋が崩れ落ちた。『出てきなさい産屋敷!!』と、安城殿が叫んでいる。
いや、いい加減出てきたらどうなんだろうか。
「鳴柱様を止めてってこと!!」
「…安城殿のことでしょうか。」
「そ!そう!!安城殿を止めてくれってこと!!」
「それは任務ですか」
「へ」
「私への命令と同義なのですか」
最近はやっと難しい言葉もわかるようになった。安城殿の元でたくさん本を読んだからだろうか。
「そうだよ!!任務!命令!!こんだけ言ったら止めてくれる!?」
「了解いたしました。止める、と言うのは…」
「動きを止めるの!この破壊活動を止めて!」
「了解いたしました。」
私はちゃき、と刀を抜いた。
「え!?ボッキリ折れてる!?」
「しかもサビだらけ…」
折れた刀を見て全員が驚きの声を出した。
それに構わず臨戦体制に入る。…安城殿は今、違う部屋をぶっ壊そうとしてる。ただ壊してるだけかと思ったけど、一応お館様を探してはいるみたいだな。
「霞の呼吸」
どうしようかな。まあ、あの人に追いつくなら突き技くらいしかないか。