第14章 意味のわからない話
「…大丈夫ですか」
春風さんが私の目に布を巻き付けた保冷剤を当てる。
私がいつまでもメソメソと泣いているからだ。
「……涙腺ぶっ壊れました……ハッ、まさか年!?」
「………我慢されるよりは良いんですけど…」
春風さんが苦笑する。
「それより、もう遅いですし彼に電話でもしたらどうですか?」
「無理…こんなガサガサの声ではさすがに……顔もボロボロですし…」
泣いたせいで顔がぐちゃぐちゃだった。嗚咽を絶え間なく発したせいで声が変になってしまった。
そんな状態で電話なんてしたくなかった。
「じゃあ、私が連絡します。彼心配してますから。」
…何で推測じゃなくて断定なんだろう。まあ、野暮なことは言わないでおこう……。
春風さんはテキパキと動いて数秒後にはスマホを耳に当てていた。
その様子を見ながら私は瞼が重くなるのを感じていた。
……たくさん泣いたから疲れたな。目に当てられた保冷剤の冷たさも心地良いし、もう眠くてしょうがない。
「もしもし、実弥くん?はい、春風です。……えぇ、いらっしゃいますよ。」
春風さんは今にも眠りそうな私を見下ろした。
「……それがですね、どうも精神的ショックが大きかったようで…はい、はい。………ええ。それはどうぞご自由に。」
何を話しているんだろう、と思いつつ私は眠りについた。