第1章 落ちて拾われて
「お茶を煎れますから、席に座って待っててください」
「あ、いえ、一織さんは休んでて下さい。お茶なら私が」
「ここは仕事先じゃないので、私がしますよマネージャー」
ふむ、何となくだけど。
和泉さんと紡さんは仲が良い感じ。
若いっていいなぁ。
まあ、私もまだまだ若いんだけど。
和泉さんに押しきられた紡さんが、仕方なくこちらに来て席をすすめてくれる。
お言葉に甘えて座って待っていると、急に賑やかな声が聞こえた。
少し興奮したような男の子達を連れて、三月くんが戻ってくる。
中には外国人もいた。
日本は昔に比べて、随分と国際化が進んだな。
って、さっきから私はまるでオバサンみたいじゃないか。
「マネージャー以外の女の子だ、珍しー」
背の高い銀髪の男の子が気だるげに言えば、他の面々も私に視線を向けて感想を述べる。
興味、好奇心、拒絶、疑問、不安。
色々な感情が混ざったまま、隠そうともせず向けられる目が、ちょっと居心地悪い。
皆、思い思いの場所に腰を落ち着け、最後の一人が席につくのを待つ。
リラックスしているようでいて、私に対する緊張感は手放さない感じ。
うん、まあ、ただでさえこんな格好だしね。
八つのマグカップと使い捨てコップを盆に乗せて、和泉くんもすぐに戻ってきた。
各々コップを受け取り、私も頂く。
日本茶だ、良い香りがして、とっても美味しい。