第11章 秋季昇格試験
『じゃ、ほれ体育館行ってこい』
「…なに言ってるの名前ちん」
「紫原の言う通りなのだよ」
「名前も、一緒に行くんだろう?」
誰か嘘だと言ってほしかった
なんとか避けようと思って先ほど出たオバケを怖がって逃げるを選択してみる
『えー…オバケ、怖いなー』
「何言ってるんだ言い出したの名前だろう」
「1人で帰る方がオバケに会うかもよー」
逃げられなかった!ついていくしかコマンドがないようなので彼らについていくことにする
体育館の開けっ放しの扉から練習着姿の青峰と、制服姿のテツヤの姿が見えた
その2人の空間に征十郎が入って行き、脳内がどうしようという単語でいっぱいになっていく
「青峰」
その言葉に反応してかこちらを向く青峰とテツヤ、2人とも表情がいつもより寂しい気がする
「最近見ないと思ったらこんな所にいたのか」
「あー、向こうの体育館は人が多くて…」
「まあどこで練習してもかまわないが…」
青峰の後ろにいるテツヤが視界に入り、征十郎が目を見開く
「彼は?」
「ああ…いつも一緒に練習してんだ。名前はテツ」
「あれーこんな人いたっけ?」
「1軍じゃねぇからな」
「ふーん…なんだ。ねーもう行こーよー」
先ほどあげたチョコがついた棒状のビスケットお菓子を食べながら紫原が案を出す
「…いや、彼に少し興味がある。面白いな…初めて見るタイプだ
もしかしたらオレ達とは全く異質の才能を秘めているのかもしれない」
征十郎の言葉にびっくりしている緑間。彼は察しているのだろう、先日行っていた征十郎が求めている6人目の選手が彼ではないかということを
「悪いが全員先に帰っててくれないか?彼と少し話がしたい」
指示を受け青峰も紫原も体育館から去っていく。その流れで帰ろうとそっと出ようとすると、征十郎に肩を掴まれた
「名前は待つんだ」
『…あはは』
前にもこんなことあったなと、夏の出来事を思い出す
やはり逃げられないのかと仕方なく、いやこれからのやり取りに興味があるので仕方なくはない
2人のやり取りを見ることにした