第69章 卒業式
「苗字先輩!卒業おめでとうございます!」
『…ありがとう』
あっと言う間に卒業式がやってきた
学校に着くなりいきなりバスケ部のメンバーに出迎えられ、そのままスルーするのもなんだと彼らの前で立ち止まる
「苗字先輩、高校どこ行くんですか?」
『ああ、誠凛?』
「…え、黒子先輩と出来てるんですか?赤司主将じゃなくて?」
『え?出来てないよ』
「え!じゃあ誰と付き合ってんすか!虹村先輩?!」
『誰とも出来てないよ…』
「桃井先輩は!?」
『テツヤ一筋』
目の前の後輩たちがざわつき始める
あたしとさつきは誰かと付き合っていると思われていたんだろうかと首を傾げているとちょうどそこに緑間が通りかかった
「苗字、何をやっているのだよ」
『…おはよう緑間。なんかすごい勘違いをされてたらしくて』
「勘違いだと?」
「緑間先輩!苗字先輩って彼氏いないんですか?」
「オレが知る限りいないな」
絶対聞く相手を間違っているが、この状況で緑間に聞いてくれたことに感謝しかない
他のみんなが気がついているのか分からないが、さつきがテツヤを好きなのを気が付かないくらいの鈍感だ
絶対大丈夫だろうと安心していると、視界の端で黄色いのが大きく手を振っている
「名前っち!緑間っちー!」
「黄瀬か、どうしたのだよ」
「どーしたのはこっちっスよ!なに後輩と遊んでんスか?!」
「黄瀬先輩!苗字先輩彼氏いないんですか!」
『何回聞くんだ、いないって』
「オレっスよ!」
『違うって…!』
「さすがにそれは違うの分かります」
「ぐぅ…誰かオレと名前っちの恋路を応援してくれてもいいじゃなっスか…」
否定する必要もなく言ったことを信じてもらえないことに安堵する
涼太に雑な扱いをしてきたおかげかと今までの自分の行いをよくやったと褒めていると、時間を気にしているのか緑間が校舎の時計を確認した