第8章 夏祭り
翌日、起きると既に制服を着た征十郎と雪さんがキッチンで朝ごはんの用意をしていた
「おはよう名前、よく寝てたね」
『…うん。眠くて』
「名前ちゃん、準備出来たらご飯食べましょ」
『はい。顔洗っています』
なんだ、1番寝ていたのあたしかと笑いながら3人で朝ごはんを食べ、支度が済んだあたし達は部活に行くため玄関で靴を履く
「お世話になりました」
「いつでも泊まりに来てね!名前ちゃんいなくても待ってるから!」
『…だって』
「はい。またお願いします」
「あとこれ、良かったらもらってくれる?」
彼女が征十郎に白い封筒を渡す。何なんだろうかと除き見ると、入学式と昨日撮った写真が現像されたものだった
もしかしてこれを現像するのに昨日の夕飯を食べ損なったんだろうかと推測するが、征十郎の前で言うのは野暮である
それにそれが事実でも事実でなくても何か変わるわけではない。口には出さないことにした
「お母さんに見せてあげて」
「…はい」
「じゃあ気を付けてね。いってらっしゃい!」
『行ってきます』
「征十郎君も、いってらっしゃい」
「はい。いってきます」
昨日出かける時と同様扉が閉まるまで手を振ってくれた雪さんに見送られ家を出た