第62章 たまには中学生らしく
「あー負けたっス!」
「まさか青峰に負けるとは…」
「あー、赤司には勝てなかったけどな」
「なかなか面白かったね、練習のために置いてもいいくらいだ」
『…実践には向かないから絶対やめた方がいいと思う』
「冗談だよ」
本当に彼の冗談は分かりにくいと思っていると、テツヤが小さく拍手をしている
ああこんな時まで彼は可愛いなとニコニコ見ていたところ今のプレイに感化されたのかなんだかうずうずしていた
「ボクも見てて面白かったです。次やってみようかな」
「テツ君やるの!?見たい!」
「ボク1人だとちょっと…紫原君、名前さん、一緒にどうですか」
『え』
「えーそれ絶対オレ勝つじゃん」
「…ならばもう1度やるのだよ」
『いや、あたしいいって…』
「名前がシュート外すところなんて見たことないけどね」
余計なことをいう征十郎をキッと睨むと彼は笑っていた
先ほどまで負けてしまったことに口を尖らせていた涼太も興味が出たのか楽しそうな表情をしており、さつきも「そう言えば」と顎に手を添える
「…確かに、体育の授業何でも出来るもんね」
「水泳は出来ないがね、昔から」
「あー泳げないねー」
「名前っちのバスケするとこ見たい!」
『ぐ…』
ここまで言われてしまうと後に引けなくなってしまう
まあ1回くらいならいいかと財布から100円玉を取り出し腕まくりをする
『後悔しても知らないよ』
「名前ちゃんミドリン倒しちゃえー!」
「そうするとオレのスコアも抜かされるってことっスよね…複雑っス…」
「負けません」
「おう、テツ頑張れよ」
それぞれ好きなゲーム台の前に立ち100円を入れる
先ほど彼らのゲームの様子を見ていたせいかゴールがどういう動きするかは分かっていたので、ひたすらボールを投げ続ける
後半になるにつれ段々腕が付かれてきたのは運動不足だなと感じながら、タイムアップの音が鳴るのを待った