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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《1》

第55章 全中予選





そして準決勝、あたしには待ち望んだ試合がやってくる

とりあえず試合前にお手洗いだけ済ませておこうと思い1人抜け出し、用が済んだあたしはハンカチで手を拭きながら控室へ歩いていた


「おーっす名前ちゃん!」


名前を呼ばれ振り返ればオレンジ色ではないジャージを着た和成が立っている

今日は全中地区予選の準決勝、相手は和成がいる中学との試合
声を掛けてくれたことに思わず笑顔になり、彼に駆け寄った


『和成もトイレ?』

「いや名前ちゃんに挨拶しようと思ってさ、どっかいるかなーって歩いてたとこ」

『そんな自由でいいの?試合前なのに』

「アップの前に戻れば怒られねえって」

『そっか、ならいいんだけど』

「オレが怒られねえか心配してくれてる?」

『…まあ』

「名前ちゃんやっさしー!ありがとな!」


友人が怒られそうなら間違いなく心配するはずなんだがと、思いながら彼と壁沿いに移動する

ジャージを上から来ているため見ることが出来ないが、彼と試合するのは初めてだ

対戦できると決まった際、自分が戦うわけでもないのに喜んでしまった記憶は新しい


『ユニフォーム姿の和成見るの、初めてだね』

「今まで時間違ったからなー、オレもちゃんと監督してる名前ちゃん見んの初めてだわ!」

『いやまあ…お飾りの監督なんだけど』

「そんなことねーだろ!月バス見るとすげー出てんじゃん!」

『…面白がってる取材受けて、みんなの体調管理してるだけなんだけどね』

「体調管理も大事だろー?ウチなんてマネージャーいないから羨ましいぜ」

『そうなんだ?』

「ウチ来てもいいぜ」

『今更?』


もうあと残すは全中だけなのに今更転校してマネージャーやってどうするんだと考える

でも和成と一緒の中学だったら帝光とは違った形で楽しかったんだろうなと、あるはずのない世界線を想像した


『今日はよろしくね』

「おう、負けねーよ?」

『はは、うちも負ける気は全くないよ』


友達だけど今日は敵同士。今まで感じたこと無かった感覚に気持ちを昂らせながら彼に手を振って控室へと戻った






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