第2章 赤いカレ
それからいろんな店を周り、お手洗いに行って戻ってきた時だった
「成金学校の小学生じゃねぇか…これは、金になりそうだな」
男が彼に、近づいていく。赤司征十郎は何かするのかと思ったのだが黙って男の様子を伺っている。赤司はどうやら、慣れている様子なのだ
なぜ彼は反抗しないのだろうかと様子を伺っていると、彼の肩に男の手が触れる
払い除ける様子もない状態に思わず走り出した
多分前のあたしだったら見て見ぬ振りか動けなかったと思うのだが、なぜだが小さくなってから色んなことが出来る気がする
その自信はどこから?私は体から。いやこんなこと考えてる余裕ないよあたし
『汚い手で触んな!』
そう。それ故になぜかあたしは後ろから男に飛び蹴りをかました。本当になぜか自分でも分からない
何やってんだと自分が言ってるし、赤司征十郎も今まで見たことないようなポカーンとした顔をしてる
「この…クソガキが!」
倒れた男があたしに向かって走ってくる
普通なら恐怖で動けないこの状況だが、不思議と動けたために殴ってくる直前に避けて、男の足首の前に足を出した
あたしの足に引っかかった男は勢いよく転び回転し、どっかの店と突っ込んだ
この男は大柄だから転んだだけでも大ダメージを受けるであろう
あのポケットのモンスターの技にあるくさ結びを思い出しながら意識が飛んでいることを確認する
溜め息を吐くと周りの野次馬から拍手が起こった
「やー!すごいねお嬢ちゃん!出る暇もなかったよ!」
「怖くなかったのかい?」
「もうすぐおまわりさんが来るからね」
『…あ』
わかった。舞台に立った時人が変わるような感覚だと、平凡な人生を送るあたしがこんな感覚を知ってる理由はよく分からない。けど、何となくそれだと理解する
ふと赤司征十郎を見ると彼はぽかーんとした顔をしながらあたしの事を見つめており、少し驚いた
「あいつは、名前の差金かい?」
『あたしの差金!?とんでもない!』
「じゃあなんでオレのことを助けたんだい?
名前だけでも逃げて状況を大人の人に伝えれば良かっただろう」
『…あ、まあ、それが正解だよね…』
正論を言われて困っていると赤司征十郎はフッと笑みをこぼしてから、あたしのことを見た