第2章 藤の幻$(宇髄裏)
「血鬼術『魅了』。私めは人の性を食らうのです」
(魅了は珠世と類似した術とお考えください。術中にあるものに幻惑を見せ、対象が一番欲しいものに化ける術)
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「何だ、急に…香が……まきを?」
「天元様。今日は私がして差し上げます」
場所はいつの間にか風呂場。
白藤と名乗った鬼は消え、妻であるまきをが裸に布を巻いた状態で現れ、俺の服を脱がしていく。
まきをの手が俺の下履きにかかる。
「どういう原理か知らねえが据え膳は食わなきゃなあ」
鬼を狩った後で興奮していることに変わりはない。
生理現象だ、そのために妻を抱く。
何も可笑しいことは無い。
ただ、現実には白藤が宇髄を脱がせていく。
それを気付かせない。
それが、彼女の血鬼術。
「天元様……」
しなだれ掛かりながら、熱い視線を送れば、それが合図のように口吸いをされる。