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君に届くまで

第2章 時空を超えて


ぼーっとして歩いていたせいか。
道に迷ってしまった。自分が今どこを歩いているのかわからなくなってしまう。戻るにも戻れなくなってしまった。

ーとりあえず、真っ直ぐ歩いて端まで行くか。

時々立ち止まり休憩を挟みながら、塀を目指して右へ左へと迂回…しているつもりだったのだが、ますます迷ってしまった。
目の前の行き止まりを見つめ、途方に暮れる。
思わず、ため息がついて出た。

一度さっきの道を引き返してみようと振り返った時、ちらりと人影が目に映った。

ーしまった。付けられている?

レンは慌てて、クナイホルダーから一本クナイを引き抜いた。
気配は5つ。囲まれている。
全く気づかなかった苛立ちに思わず舌打ちがついて出る。

ーこんな状態でまともにやり合えるか?

レンが構えたまま動かなくなると、それを察したのか空気が少し変わった。

ー来るか?

まず、動きがあったのは渡り廊下の屋根の上だった。そこから一人の少年が斬りかかってきた。
それをクナイで受け止めると、間髪入れず背後から赤と黒を基調とした青年が突きを繰り出した。
それを紙一重で避け、少し体制を崩したところに3方向から剣が突き出され、尻餅を付きながら全ての剣筋を躱す。

見上げると5つの人影がレンをぐるりと囲んでいる。
顔や姿は逆光でよく見えない。
その中で全体的に白っぽい人が剣をレンの首元にぐいっと突きつける。

「お前はなんだ?」

レンは質問の意図が掴めない。
熱で回らない頭を必死で動かす。

「…旅の者だ。」

「…何しにきた?」

「怪我をしていて、助けてほしい。」

ーここは正直に答えておこう。

「嘘をつくな!正直に答えろ!」

剣を突き付けた人物はレンの喉元にさらに食い込ませる。
嘘だと思われたらしい。

ー解せん、何でだ。

「…嘘じゃない。」

「鶴さん、嘘じゃないみたいだよ。こちら側の腕に怪我してる。」

別の誰かが口を挟む。

レンは、食い込む剣から少し体をずらそうと試みるも、思う様に体が動かず、そのまま倒れ込んでしまった。
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