第27章 遠くの近く
「義昭様は、本当に執念深く、
目障りですね」
光秀も静かな声音で義昭にそう言い切った。
「邪魔な存在だ」
足元がヒヤリとするような光秀の殺気。
「…ッッ…」
「貴方とのお遊びもこの辺りで終わりにしたい」
言葉で追い詰められて、義昭が一歩後退る。
「貴方の最後は、今世話になっている奴に渡してあげましょう」
狐が笑う。
「だっ、誰の事を言っているのかわからぬな」
「貴方が分からなくとも、俺は知っている。
心配には及びません」
笑う狐が草履を滑らせ間合いを詰める。
義昭はまた一歩後退りした。
3人は中に居た。
中を見に送られた兵が足元に伏している。
息は無い。