第27章 遠くの近く
ドォォーン!
外からの大きな音に、秀吉、家康、三成が、バッっと顔を上げた。
ドォォン!
「上方向には流石に届かねぇな…
外堀が2つあったら無理ってことだなぁ」
残念だと言う顔をして帰蝶の隣で後頭部を押さえるのは元就。
「肩担ぎの砲であれだけ飛べば上出来だ」
「でもよぉ、2人がかりだぜ?
5本の砲に10人の人手は裂けないだろ」
崩れた城壁を見ながら考察する。
そんな元就の態度や表情に悪びれたモノは全く見えなくて、
非常に楽しげだ。
「もう少し近づいてみるか」
帰蝶が提案して、2人はその場を離れた。
一方、安土城内では、
秀吉が大声で指示を出していた。
「何事だ⁉︎外を見廻れ‼︎怪我人もだ」
「秀吉さん」
「秀吉様っ、大砲の音のようでしたが⁉︎」
家康、三成も合流する。
「今、怪我人を含め、確認中だ」
厳しい顔の秀吉。
今は状況を把握する事くらいしか出来ない。