第27章 ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです
「そもそも、どうして六弥さんは中崎さんに敵意を持っていたんですか?」
一織が、私も気になっていた理由をナギに問う。なんとなくだが、大和のように複雑な事情があるとは思えない。
本当に、なんとなくだが。
「それは…情ない話になりますが…
ワタシが、初対面で 春人氏を女性と間違ったからです!
OH…思い出しただけで、屈辱的なあの気持ちが蘇ります…」
『「全部自分のせいじゃないですか」』
敬語キャラ2人の息が、ピタリと合った。
私のカンは大当たりで、やはりナギが私へ持っていた嫌悪感の正体は、実にくだらない物だった。
もうここまでくると、逆に清々しくて好感すら持てる。いや、嘘だ。理不尽過ぎて嫌になる。
「はぁ…。男を女性と間違うなんて、ワタシのガールハントセンサーも鈍ったモノです」
その、ガールハントセンサーとやらが何なのかは全く分からない。が、そのセンサーが間違い無く高性能である事は間違いない。
「たしかに生物学上は男性かもしれませんが、中崎さんは中性的で整った顔をしています。六弥さんなら、好感を持つと思いましたが」
『え…あ、顔を褒めてくれて、ありがとうござ』
「NO!!イオリは何も分かっていません!いいですか?
男らしい男も、女性らしい男も、それは男なのですよ!
まだ男らしい男の方が、紛らわしくなくて好感が持てます!中途半端に女性に見えてしまう男など、無用の産物です!」
酷い言われようである。ここまで必死になるくらい、私を女と間違えた事を悔やんでいるのだろう。
……いやいや!私は女なのだから、そもそもナギは間違っていないのだが。