第69章 お前さんのデート相手はここで待ってますよー
「ところで、なんだか大和くん楽しそうだね。何かいい事あった?」
「はは。そうすね、これからいい事があるっていうか…
いやそれより、俺そんな顔に出てます?やだなぁ」
「…ふぅん。誰かと待ち合わせ?」
「まぁ、そんなとこ」
「なに。その、にちゃっとした笑い方。気味が悪いからやめて」
「おいおい、新年早々ご挨拶だな。でも、今の俺は上機嫌だから。そんな九条の初毒舌も許してやるよ」
「へぇ。じゃあ その気味の悪い笑顔を二度と浮かべられないよう、そこの水溜りにキミの顔を浸けて氷漬けにしても許してくれる?」
「そんな事されて許せる人間っているのか?」
「え、上機嫌なんでしょ?」
「え、じゃねぇよ!信じられない、みたいな顔やめろ!
100万円拾った直後だったとしても許せる気しねぇわ」
「こら、そんなふうに意地悪言ったら駄目だろ。
ごめんね大和くん。天、急に春人くんが休みになっちゃったから 不貞腐れてるんだ」
「ちょっと龍、やめて。誰も不貞腐れてなんか」
「なーんだ、そういう事かぁ。エリが理由も教えてくれないまま休んだもんだから拗ねてんだ。可愛いなぁ九条は」
「……龍。そこの水溜り持って来て」
「「持ち運び可能な水溜りって!?」」
「それにしても、急に仕事休むなんて どうしたんでしょうね」にやにや
「体調が悪いわけじゃないらしいよ。ただ、どうしても外せない用事が出来たって姉鷺さんに連絡が入ったらしいんだよね」
「龍。そんなこと、わざわざ彼に説明しなくてもいいでしょ。そろそろ行こう」
「冷てぇな…お兄さん泣いちゃったらどうすんの」
「少し離れたところから、キミがさっきしてたみたいなニヤニヤ顔で観察しててあげる」
「この万年鬼畜男め…」
「お、俺はハンカチを渡して背中をさするよ!」
「十さん…イケメン!」
「え?普通の事だと思うけど…
まぁ、大和くんはデート楽しんで!」
「え。二階堂大和、この後デートなの?」
「そ、そうだけど…俺、言いましたっけ?デートだって」
「いや、待ち合わせしてて上機嫌だって言ってったから、勝手にそうかなって…
もしかして違った!?だったらごめん!」
「いや……違いませんよ。
そうこう言ってる間に、そのデート相手も来たようですし」
「……はぁ。もう、嫌な予感しかしないんだけど」
