第52章 D.C
【2日目・朝】
お泊り企画に、必ず付いて回るもの。仔細を語る必要などないだろう。そう。それは、寝起きドッキリである。
僭越ながら、私がカメラを引き連れてメンバーの元へ向かう。それでは、8.9.10 の順番で突撃していきたいと思う。
大きな音を立てないよう、ゆっくりとドアノブを回す。そして、カメラが楽の表情を拾えるくらいの明るさを確保。
それからようやく、布団に手をかける。
『おはようございます』
「ん…っ、はは。なんだよ…夜這いにでも来たのか?あんた…見た目に反してエロ…
って、カメラいんじゃねぇか…!」
起きたばかりで、まだ開き切っていない瞳。乱れた寝巻きは、放送コードに引っかかるのではないかと思うほどにエロかった。
『では次の部屋に行きましょうか』
「ちょ、頼むから無視するな…!」
さきほどと同じ要領で、今度は天の部屋に忍び込む。
『おはようございます…』
「ふ…ぁ、あれ…。ここって…
あ、そうか。今は寮生活中だったっけ。ふふ。皆んな、おはよう」
天は、うつ伏せ状態から 恥ずかしそうに頭をもたげる。あざとい。美しい。
私のすぐ後ろに立っていた楽は、こちらに耳打ちをする。
「あいつ…起きてたな」
『でしょうね』
あの、完璧たるリアクション。
天のことだ。寝起きドッキリを予想していても、何ら不思議はない。
最後に龍之介の部屋へ向かう。
『おはようございます…』
「………ん? わ!!な、なんで家にカメラさんが!
あ、そうだ…。思い出したよ!おはようございます!」
そう言って、元気良く上半身を持ち上げた龍之介。その頭を見て、その場にいた全員が吹き出す。
そう。彼の寝起きは、とんでも爆発ボンバーヘッドなのだ。
『すみません。大至急カメラ止めて下さい。ここはカットで』