• テキストサイズ

引き金をひいたのは【アイナナ夢】

第50章 お慕い申し上げておりました




「…腹が立つ」

「はは。図星だったか?」

「違うよ。
あたかも彼女のことを知っているふうな語り口をする、キミに腹が立ってるんだ」


天は、俺の挑発に乗って来なかった。痛いところを突かれて、激昂して殴り掛かってくる。それくらいの反応を期待していたのだが。

冷静に、真っ直ぐこちらを見ている。その姿は、10代の男とは思えないくらいの貫禄を纏っていた。


「ずっと一緒にいるボクの方が、エリを分かってるに決まってるでしょ?
宣言するよ。彼女は、ボクと一緒にTRIGGERを世界一のアイドルグループにする。
その上で、ボクを…九条天を選ぶ」


こんな安い挑発返しに、乗るような俺ではない。

普段なら。

さきほども言ったが、俺は ことエリに関しちゃ正常な判断を失うらしい。
逃げたくもないし、顔を背けたくもない。レベルマックスまで鍛えたスルースキルも、もはや何の役にも立たない。


「子供かよ。ずっと一緒にいる事で、本当に相手を理解出来ると思ってんのか?過ごした時間の寡多なんか関係ねぇよ。
よく言うだろ?量より質って。

どれだけ一緒の時間を過ごしたか。そんなもんより、どんな時間を一緒に過ごしたか。
そっちの方が重要だと、思わねぇ?」


鏡を見なくても分かる。俺は今、さぞ底意地の悪い顔をして笑っているのだろう。
そんな表情を向けられた天は、片眉を上げた。

外では、雷鳴が轟いていた。


「馬鹿じゃない?それを言うなら、ボク達がどれくらい高い壁を一緒に乗り越えたと思っ」

「あー違う違う。そうじゃなくてさ…。もっと分かりやすく言ってやろうか?
あんたらTRIGGERメンバーの誰も見た事ないような、あいつの顔知ってんの。俺は」

「…は?」

/ 2933ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp