第12章 青紫の眼と新たな仲間
「さて、お前に確認したいことがある」
助け出して治療をし、それも大方終わる。
あとは長く動かしていなかった筋肉のリハビリを経て体力をつければ日常生活は問題なくなる。
「今後、お前がどうするかについてだ」
海軍には戻れないだろうが、縛るものがないから選択肢はたくさんある。
どこかの島で暮らすのも、旅するのも自由。
この海賊船に乗るのも、自由。
「自由…か。なら、私は…」
海軍も強制的に居たわけではないから、そこそこ楽しかった。
力があれば地位も高くなり出世欲を刺激されるし、海軍ならではの戦闘方法も会得できた。
さらに自分の隊もあって慕ってくれる部下もいて、上官は煩くて嫌いだったけどそのトップにいたクザンさんやセンゴクさんは好きだ。
だけどそれよりもやりたいものが一つ。
それは目の前の男も知っていることだが、改めて言えと言うことなのだろうか。
海賊にもケジメのような、入団に当たって明確ななにかがいるのだろうか。
改めてとなると気恥ずかしさもあるがここで放り出されても困るので、想いを伝えよう。
「ハートの海賊団の一員になって…貴方と共に世界を旅したい」
私を仲間にいれてください、と真っ直ぐローの目を見て言う。
そうすればゆるりと片側の口角があがる。
長い足を組み、組んだてを膝に置いたローが、すっと目を細めてクロエを見る。
「俺のクルーになるってことは、お前は俺の支配下に入るってことだ。独裁的なことはしねェが、俺の命令には従って貰う」
「…ん」
「お前は支配する側の人間だ。誰かの下につき命令されるのに耐えられるか?それも、今まで対等に付き合ってきた幼馴染みで恋人の俺に、だ」
ローが改めて確認しようとしている理由わかった。
今まで海軍に属してきて少なからず入隊から数年は上官の命令にしたがって仕事をしてきたが、異例の出世で下積みは短く自軍を持った。
大きな指令は上層部から来るが、基本的に大枠だけで細かな事についてはすべてクロエの命令にて任務は遂行していた。
だからこそ、自分ではない誰かの支配下に入ることはできるのかと聞いてきたのだろう。
ここでローを立てることが出来ないようならば、この船には居ない方がいいし、ローも乗せることは出来ないと判断するだろう。
(見くびって貰っちゃ困るな…)
私の想い、半分も理解できちゃいない。
