第1章 花信風 滝澤 /平子
翌朝、目を覚ますとスヤスヤ寝ている政道さん。
寝顔は昨日の夜の色っぽい顔つきとは全然違って、可愛い幼い顔だった。
政道さんは私のことをぎゅうって抱き締めていてくれて、こんなにも幸せな朝があるんだなって胸の中がいっぱいになった。
政道さんの長いまつ毛をじっと見ていると、ピクっと動いた。
私は慌てて目を瞑って寝たフリ。
薄目で様子を伺う。
「ん、…朝か」
政道さんはそう呟くと私の髪をサラッと撫でた。
「(きゃあーーー!!!)」
「…、まだ寝るの?」
そう言いながらちょっと引き寄せられておでこにちゅ、とされた。