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星降る丘【NARUTO】

第10章 2人の秘密基地


「行きたい場所ってここですか?」

同じように木を見上げていたサクがオレの方を見る。

「うん。
正確には、この上」

ニコリと笑ってサクを肩に担ぐと、一気に跳躍し木の上へ上へと登っていく。

ガサガサと葉が音を立てて何枚かの葉が散っていった。

「わわっ!何!?
おっ下ろして下さい!
自分で行きますか、ら……」

ジタバタしていたサクが、ある物を見つけて静かになる。
オレはそんなサクを近くの枝に下ろした。

「木の上の、お家……?」

そこには木でできた小さな小屋が立っていた。

「うん。木が大きすぎて下からは見えないし、最高の隠れ家でしょ」

「入っていいですか?」

目を輝かせてオレを振り返るサクに頷いてみせると、サクが木の扉を開く。

中は大人3人が寝っ転がれるくらいのスペースがあり、小さな窓が付いていた。

「すごい!可愛い!
これ、先輩のですか?」

窓から外を覗いたり、屋根の上に登ったり。ひとしきり小屋を見たサクが興奮した声で尋ねる。

「ううん。サクに誕生日プレゼント。
サクとオレの秘密基地」

「ええ!?」

びっくりして目をまん丸にするサクをよそに続ける。

「つってもこれを作ったのはテンゾウだから、これは2人からで、オレからはこれ」

そう言ってサクに近づくと、サクの首に華奢なネックレスを付ける。
トップには小さな赤色の石。

「珊瑚って3月の誕生石なんだって。
お守りがわりにつけてて」

小さな石を掌に乗せて暫くそれを見ていたサクが、オレを見上げる。
その目には涙が盛り上がっている。

「ありがとうございます!
宝物にします!!」

目を細めた笑ったサクから一粒の涙がこぼれて、オレはそれを指ですくった。

「泣き虫」

「嬉し泣きだからいいんです」

見たかった極上の笑顔が目の前にある。
幸せそうに笑うサクの腕を引いて抱きしめ、頭のてっぺんにキスをする。

「サク、誕生日おめでと」

きゅっとぎこちなくオレの服を掴んだサクが、「ありがとうございます」と言い、オレの胸に頭を擦りよせた。

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