• テキストサイズ

星降る丘【NARUTO】

第7章 傍にいたい


夕方からみっちり仕込まれて、家に着きベッドに倒れ込むころには日付が変わっていた。

「つ、疲れたぁ……」

声にならない声を上げて布団にしばらくつっぷす。

女の所作やら着物の崩し方、目線、お酒の注ぎ方、普段やり慣れないことばかりでもうボロボロだった。
明日はわたしのお酒は水に変えてもらい、男にどんどん飲ませ気持ち良くなったところで床入りに持ち込み、幻術をかける手筈になっていた。
この短い髪では色気がないと、長い髪のかつらもつけることになった。

短いとやっぱ色気ないのかな……
伸ばしてみようかな。

金髪の癖毛の先を摘んで弄ぶ。

先輩、今何してるかなぁ。
最近微妙に先輩に避けられている気がする。
ばったり会えば普通に話すし、任務で一緒のときも普通だけど、必要以上に近づかないようにしていると言うか……。

やっぱ、告白しようとしたせいだよね。

はぁぁ。
大きなため息がもれる。
告白なんてしようとするんじゃなかった。
前の関係に戻ってふざけたりしたい。

ジワリと目尻に浮かぶ涙を拭い、思いを振り切るように起き上がる。
今は明日の任務のことだけ考えよう。
わたしはよし!と気合を入れて、明日のシュミレーションをしながら風呂場へと向かった。



……………………………………⭐︎⭐︎⭐︎…………



遊郭の割り当てられた部屋で、鏡を見て変なところがないかチェックする。
施してもらった化粧とかつらで、なんだか別人になった気分だ。

入念に手順などを頭の中で繰り返していると、襖が開き、今回のターゲットの駿河という男が来たと禿の女の子が伝えに来てくれた。

「通してください」
短く言うと、程なくして高身長のいかにも金持ちそうな身なりの男が入ってくる。
垂れ目、薄い唇には軽薄な笑みが浮かんでいる。

わたしはそんな彼を盗み見ながら、「お待ちしていました、駿河様。ツバキと申します」と正座して頭を下げる。
伏し目がちに頭をゆっくり上げると、駿河はわたしの畳に散った長い髪を一房持ち上げ唇をつける。

「ツバキかぁ。かわいいね。
今日初めてなんでしょ。
緊張しなくていいからね。」

甘い笑みで囁くと、弄んでいたわたしの髪を耳にかけ、頬に触れてきた。

/ 193ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp