• テキストサイズ

星降る丘【NARUTO】

第22章 愛ゆえの我儘


「ただ、これはサクが妊娠してるからとか、仕事があるからってことじゃなくて、単なるオレの我儘……」

「え……?」

「オレは、たとえオレが死んでも、サクと、そのお腹の中の子に生きてほしい……」

掠れて小さな声で言われたセリフ。
気がつくとほおを涙が伝っていた。

苦しいくらいにぎゅっと抱きしめられて、カカシの気持ちが痛いほど伝わってくる。
さっきカカシはわたしの立場だったらって言ったけど、わたしもカカシの立場だったらきっと同じことを思っただろう。

思うことは一緒なのに、お互いこんなに思い合ってるのに、なんで……

静かな涙は、今では嗚咽を伴ってとめどなく流れ落ちていく。
ありったけの力でわたしもカカシにしがみつく。

「死な、ないで……。
死なないで、ちゃんとわたしたちのこと、むかえに来てっ……」

ついに我慢できなくなり、わたしは小さな子供みたいに声を上げて泣き出してしまう。
カカシはわたしの言葉には答えてくれなかったけど、その背中をいつまでも優しく撫でてくれた。



/ 193ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp